本の話 - 池井戸潤「下町ロケット」


2010 小学館
池井戸 潤 先生

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装幀・装画が良い

題字もロケットしてるし
装画も内容を的確に表現している


先生は三菱銀行に居たそうだ

どうりで登場人物の描き方が上手いはずだ
中小企業・銀行員の人々など
とてもリアルで活き活きしてる

しょっぱなから中盤まで
次から次へと振りかかるトラブル
終わることのない資金繰りの悩み
外から内からトラブル続出

防戦一方から
徐々に光が差してくる様が面白い


しかしながら娘が弱い

娘との確執が浅すぎて
エンディングで花を添えるどころか
ご都合主義臭が漂いシラケてしまう

娘だけでなく妻・先代社長・社員との確執を
もっと掘り下げたほうが
物語に深みが増したような気がする


まぁそれを差し引いても
十分楽しめる作品だ

2代目社長の経営者としての成長
心が離れていた社員達の団結
銀行から出向していた経理担当の本当の意味での正社員化
挫折していた夢が思わぬところにリンク

そしてロケットは打ち上がる


不景気・震災で四面楚歌の
今の日本に相応しい作品かも知れない

第145回直木賞 受賞作品

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