映画の話 - 英国王のスピーチ

2010 Momentum Pictures
トム・フーパー 監督

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第二次世界大戦突入前夜
ひどい吃り・吃音の英国皇太子が
そのハンデと上手く付き合いながら成長していく様と
それを支える周りの温かいサポートを描いている

果たして彼は
国王として無事にスピーチ出来るのだろうか…

アカデミー賞
作品賞・監督賞・主演男優賞・脚本賞など
数えきれないほどの受賞している作品

煽り文では「感動の実話」とあるが…

それでは早速
本作の主人公であるジョージ6世
本人のスピーチを聴いてみよう↓
http://www.bbc.co.uk/archive/ww2outbreak/7918.shtml

なるほど…
本当にたどたどしく頼りないスピーチだ


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物語は
皇太子である彼が
多くの大衆の前でスピーチするシーンから始まる

大衆の視線が集まる中
観ているこっちまで
喉が乾いてきてしまうほど緊張してくる

カメラワーク・音楽
そしてコリン・ファースの名演がなせる技だ

彼は前編に渡り
王族でありながらも人間である
微妙な役回りを見事に演じきっている

そのスピーチは見事に失敗
見るに見かね皇太子妃が
いろいろな専門家に助けを求める

そして
オーストラリア出身のセラピスト兼演劇人
(博士・医者でもないため資格などは持っていない)
に巡り合い物語が動き出す…


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そのオーストラリア出身のセラピスト役の
ジェフリー・ラッシュが特に良い
物語に深みが出ている

威厳満ち溢れる父親ジョージ5世
演じるマイケル・ガンボンも素晴らしい演技だ

陰ながら支えるエリザベス妃
ヘレナ・ボナム=カーターも品があって
説得力がある


実にイギリスらしい物語だ
日本が舞台であったら不敬罪で上映禁止だろう

バツ2女と一緒になるために
国王を辞める(実話)なんて考えられないし
王族が「Fワード」連発する場面なども
日本ではちょっと想像できない


ストーリー展開は
さすがアカデミー賞脚本賞受賞だけあって
中だるみもなく一気に2時間
ストレスなく観ることが出来る

しかしながら
それがすべて良い方向に向かうとは限らない…


淀みなく展開させたせいなのか
中盤の波乱や苦悩がいまいち伝わってこない

そのおかげか
一番大事な最後の場面が
まったく活きてこない

コレはホントもったいない

もっと中盤をじっくり突き落としていれば
最後により高い感動が得られたはずだろう

中盤から駆け足過ぎるのだ

もちろん彼らの意図は
十分観る側に伝わってくるのだが
残念ながら演出がついていけなかった
(スピーチの神様ヒットラーを出してくるあたりは上手かった)

その他にもところどころ
ショボイ映像もあり(大観衆であるべきなのにありえないくらい少ないwなど)
やや首を傾げたくなるアカデミー賞受賞作だ


アカデミー賞はじめ各有名映画賞総ナメ!
だけあってとても良くできた映画ではある
それは大いに認めたいが「感動の実話」!
って部分には同意しかねる

そんな作品だ

英国人だったら文句なく
楽しめる作品だろう

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因みに
↑写真からすると
兄のエドワード8世を演じた
ガイ・ピアース↓の方が似ている気が…

んでもって
↑今回主人公を演じたコリン・ファース

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