映画の話 - 新・男はつらいよ シリーズ第4作


1970 松竹
小林 俊一 監督

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「男はつらいよ」シリーズ第4弾

山田洋次監督ではない「男はつらいよ」は
この第4弾と前作第3弾の2作品だけだ

小林監督は
テレビ版「男はつらいよ」で監督
映画版でも脚本・企画で携わっており
山田洋次監督とは一味違った演出


しかしながら
俳優陣・撮影・脚本・音楽は鉄壁の布陣
安心して観ることが出来る

オープニングの主題歌も
聞きなれた歌詞と異なり新鮮
しかも1番しかない


何故
山田洋次監督ではないかというと
同時期山田監督は
ドキュメンタリータッチの映画制作に追われており
日本を縦断する撮影をしていたからだ
(民子三部作と言われるシリーズ第一作「家族」の撮影)

もちろん
その「家族」主演の倍賞千恵子も撮影に追われており
この「新・男はつらいよ」には
サクラはほとんど出てこない

ある意味
貴重な作品
とも言える


物語は
寅さんが立ち寄った峠の茶屋で
孫が祖母のために電気アンカを買ってあげる
微笑ましい場面に遭遇する

寅さんはそれに感化され
自分もおいちゃん・おばちゃんに
親孝行するぞ!と意気込むが…


寅さんシリーズの定番である
哀愁うんぬんは今作品では期待しないほうが良い

もちろん
マドンナの栗原小巻が出てきて
いつのもベタな展開にはなる
今作品の一番の見所は
初代おいちゃんと寅さんの掛け合い
だろう

やはり
おいちゃんコト車竜造と車寅次郎は血を分けた義親子同志!
似たもん同士なんだなぁ~
と言う象徴的な場面がある

これがとても良いのだ

2~3代目のおいちゃんには申し訳ないが
やはりおいちゃん役は森川信が一番しっくりくる
寅さんと同等に掛け合うコトが出来るからだ

堅気になった
川又登コト津坂匡章(現・秋野太作)も
良い味を出している


まったく期待していなかったが
DVDの特典映像が意外に楽しめた
同時上映作品主演のハナ肇とのツーショットや
撮影中の渥美清の素顔が観ることが出来る

寅さんファンにはタマらない特典だ


山田監督が得意としている
鉄道シーンでの終わりも最高だ
(小林監督 さすが良く分かっている~)

哀愁度は薄いが
良質な喜劇
を観ることが出来る
素晴らしい作品だ


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