本の話 - 橘玲「貧乏はお金持ち 『雇われない生き方』で格差社会を逆転する」

2009 講談社
橘 玲 先生

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小さく書いてある英語表記のほうが
この本の題名に相応しいかも知れない

Poor on Paper, Rich in the Bank
(帳簿上は貧乏でも銀行ではお金持ち)
素晴らしく的を射たタイトルだ

「正社員じゃないと人間ではない病」
「借金するなんてアホ病」
感染している人には一生理解出来ない本だ


そんな重病患者(社畜)には
せっせと頑張ってもらって
こっちはこっちで黄金の羽根を
有効に使って自由に生きていこう
ではないか

内容は
まえがきで先生がズバリ掲げている

 この本のコンセプトは単純だ。

自由に生きることは素晴らしい。


そしてあとがきで

 国家に依存するな。国家を道具として使え。

先生のコレまでの作品同様
日本の税制・優遇制度を
最大限に活用(黄金の羽根)し
自由に生きていこう~
な本だ


奇妙な映画館とその観客に例えた
日本の現状がとても分かりやすい

会社という楽園を追われた(解雇)
フリーエージェントと呼ばれる元会社員たち
日本より先行している
アメリカの彼らの状況が
想像以上に面白い展開を見せてるのが
なかなか興味深い

その波は日本にも確実に押し寄せてきている
オイラもその楽園から落っこちた一人である

みんな他人ごとではないはずだ


そこで先生は
誰でも利用できて
いつか必ず役に立って
いつまでも使える
黄金の羽根
を最大限に使うため
フリーエージェント(個人)から
会社(マイクロ法人)へ移行すべき

と教えてくれている

そのマイクロ法人の詳細が
とても面白い説明だ

なんとサザエさんのマスオさんが
「サラリーマン法人フグタ」を設立し
これまでのサラリーマン時代から比べて
どう優遇されるかを分かりやすく説明してくれるのだ

さらに突っ込んで
会社の設立方法
法人税の申告方法
事業所得を使ったサラリーマンの節税方法
公的融資制度の活用方法
節税とファイナンス
担保と連帯保証の説明

など至れり尽くせりの内容

驚異の借入金利
0.37%(3.7%ではない!)
なども紹介してくれる!


もちろんいい事ばかりではない

自由に生きる=責任が発生する
注意を促してくれているところもさすが先生だ

一生サラリーマン(社畜)で終わるか
責任を背負い自由を求めて生きるか
その人次第だ

どっちを選ぶ選ばないに関係なく
この本は有益であるコトには変わりない


オイラも
「アルバイト兼ブロガー法人ジャミロウ」を起業するか…


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一点だけ苦言を呈したい

先生の言う
「金融機関窓口の保証協会付きの融資審査はザルだ」
「金融機関としてまったく機能してない」
「書類だけ揃えればOKだ」などの表現は
現場に居た人間からするとまったく的外れと断言できる

これだけは受け入れることは出来ない

自己査定や金融庁の立ち入りも定期的にあるため
ロクな審査もせず無尽蔵に貸し出すことは
このご時世には到底有り得ないのだ


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