本の話 - 歌野晶午「葉桜の季節に君を想うということ」

2003 文藝春秋
歌野 晶午(うたのしょうご)先生

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結末で愕然とするミステリー!
と大絶賛されていたので読んでみた

なるほど… まんまと騙された
まったくもって気付かなかった自分が悔しい
素晴らしい叙述トリック小説

しかしながら
「ふ~ん 良く出来てるなぁ~ それで?」
と言うのが正直な感想



騙された後に
「えええええええええマジでええええ?」
「もしかしてあの場面もかあああああ?」
「ココもそうなのかあああああああああ」
もう一歩欲しい

衝撃・感動が薄くこれでは
本格ミステリーとは言いがたい

この原因は先生の文体
そして主人公のキャラクターにあるかも知れない

タイトルは大変詩的なのだが
文体は詩的とは程遠い


ハードボイルドとは言えない優しすぎる文章
そして主人公もやや中途半端なキャラクター
(この作品の設定上しょうがないとも言える)
展開もご都合主義満載でハラハラドキドキしない

そう…
タイトルの美しさに
内容が追いついていない
のだ


昨今
いろんな小説が映像化されているが
この作品は無理だろう

小説ならではの「どんでん返し」であり
映像化は不可能であろう
もし映像化できたら
その監督はよほどの天才か
原作レイプのアホアホ野郎だ


散々悪く書いてしまったが今作は
以下↓のような輝かしい受賞歴

第57回日本推理作家協会賞受賞
第4回本格ミステリ大賞受賞
このミステリーがすごい! 2004年版第1位
本格ミステリベスト10 2004年版第1位
週刊文春 推理小説ベスト10 2003年度第2位
2004年のミステリー賞総なめ!

本格派ではないが
もちろんまんまと騙されるし
面白いミステリー作品と言える

騙されたい方にはオススメ
それ以上を求めるなかれ…


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