映画の話 - 九ちゃんのでっかい夢

1967 松竹
山田 洋次 監督
坂本 九 主演

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山田洋次監督にしては
珍しいドタバタミュージカル作品
いかにも事務所ゴリ押しタイアップ感が拭えない

当時人気が出てきた坂本兄さんを
大々的にフューチャーしている作品で
なかなか堂に入っている

得意の歌はもちろん素晴らしく
ビジュアルに合った(小柄な体型を活かした)
ダンスはなかなか見物


原作は三木洋こと
小林信彦先生の推理短篇「消えた動機」

物語は
ガンを宣告された売れない舞台芸人コト坂本兄さんは
病を苦に自暴自棄となり
思い切って殺し屋に自分を殺すよう依頼してしまう
しかしながら
坂本兄さんは30億円もの相続権利者であることが分かった…


殺し屋が出てくることもあり
オープニングがスパイアクションっぽい作り
(いかにもなんちゃってレベルw)

なかなかスタイリッシュな(カッコつけてるw)オープニングだが
音楽担当は山田洋次監督お抱えの山本直純先生!
(劇中も指揮者役で出演)

まるっきりニッポンまるだしの喜劇音楽で
まったく映像と合っていない

さすが山田監督だ
いきなりOPからクスッとさせてくれる

意外にも
ブラックマヨネーズ吉田ばりに
肌が凸凹している坂本兄さんに驚き
を隠せない

相手役のヒロインだが
山田監督作品と言えば!の
もちろん倍賞千恵子姐さん

ボブカットがめちゃくちゃ似合っていて
とってもカワイイ~

しかしながら性格は
勝気でやんちゃな看板娘と
杓子定規の設定で笑える


嬉しいことに
姐さん得意の歌声も披露
してくれている

その歌は
心を寄せている相手を
暗に教えてくれる粋な計らいだ

My Bonnie~♪
私のボニーは海を渡る~
彼を私に返して~

そのボニーは
残念ながら坂本兄さんではなく
竹脇無我兄さん!
世界を股にかける船乗りがピッタリの男前
だ~

その他大勢の一癖ある喜劇俳優が名を連ねているが
作品の目玉はやはり
坂本兄さんの歌・ダンス・パントマイムだろう


歌はもちろんだが
ダンスがこんなに上手いとは思わなかった
余裕綽々に踊っているのか
一度観たら忘れられないあの笑顔が印象的

皆さんも
容易に浮かべることが出来るであろう
例のあの笑顔だ

残念ながら
パントマイムは音がズレていて頂けないw

喜劇役者ばかりの中でも
安定した笑いを披露してくれる
てんぷくトリオ
が目立つ

痩せてる伊東四朗の顔つきが
シャープで顔色が悪くやや怖い

作品自体は
ベタなドタバタ喜劇で
大したオチもなく薄っぺらな内容

山田洋次監督作品の中でも
かなりの迷作と言えるだろう

山田洋次監督ファンを自認する方は
観ておいても損はないかもしれないが
それ以外の方にはちょっと…

倍賞千恵子姐さんファンはもちろん必見


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