映画の話 - Hotel Rwanda(ホテル・ルワンダ)

2004
イギリス・イタリア・南アフリカ共和国 合作
United Artists
テリー・ジョージ 監督
ドン・チードル 主演

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当初日本では
公開予定はなかったらしいが
映画ファン嘆願により
ようやく日本でも公開された作品

主演は
今では有名なドン・チードルだが
この作品で顔が売れるまでは
「ER」くらいでしか観たことなかった

なるほど…
確かに引っ張りだこになるような演技


物語は
南半球赤道にほど近いアフリカの小国ルワンダ
ツチ族とフツ族とのいざこざが続いていた

4つ星ホテルの支配人ポール(フツ族)は
妻(ツチ族)・子供と幸せに暮らしていたが
徐々にツチ族とフツ族の衝突は激しさを増し
とうとう大統領がツチ族により暗殺されてしまう

フツ族民兵によるツチ族狩り(大虐殺)が激しくなる中
ポールは家族・親戚や知り合いを守るため自分のホテルにかくまう
さらに避難民も次から次へとホテルに集まってきてしまう

過激な民兵から逃れるため
政府軍にコネや賄賂を駆使していたが
とうとうお金も尽きてしまった…


いろいろと考えさせられる作品

途中
白人の報道カメラマンがポールにつぶやく

「アフリカなんて誰も気にしてなんかいない
 気の毒ね…っと言ってディナーを食べ
 すぐに忘れてさられてしまう」


非常に情けないが
ズバリその通りで何も言いかえせない

世界にとってのアフリカンとは…
恥ずかしいことに考えたことさえなかった

同じアフリカンなのに殺し合っている現状
アフリカンと白人との格差
それを実感し苦悩するポールを
ドン・チードルが熱演している

彼の苦悩がこっちにまで伝わってくるほどだ

だが
ポールはけっして諦めない
考えられるすべてを全力で実行し
1200人を上回るホテルの避難民を
たった一人で守ろうとしている


自分の命を危険にさらしてでもだ!

そしてそのポールを支える妻

主演ドン・チードルと
その妻役ソフィー・オコネドー
この二人の熱演が
この映画の唯一の命綱
と言える

ハリウッド映画に見慣れているので
残念ながら
この作品のチープなセット(特にホテル)や
脇役のやや大根な演技に違和感
を感じてしまう

さらに編集のせいなのか
危機感が伝わってこないので
正直ハラハラドキドキしない


主演二人の踏ん張りで
何とか観ていられる感じ



最後に
その消化不良を完全払拭してくれるのが
ずばり!エンディング曲


フージーズのリーダーでもある
ワイクリフ・ジョン作だが
かなり素晴らしい楽曲なのだ

映画だけでは伝えきれない部分を
充分に補っている


この映画は
この曲のためのPVだった

と言えるかも知れない

Wyclef Jean「a million voices」 ※ルワンダ紛争で約100万人が犠牲になった



日本語訳

子供の声:
私の上に太陽は いつ戻るんだろう 取り返してくれるのは 誰なんだろう

ルワンダ ルワンダ

”選ばれるものは少ない” ルワンダの流血には選ばれたくない
”メシャクらは火の中に入れられたが焼けない” 私はルワンダで焼かれたくない
”人は行いによって裁かれる” それならアフリカよ お前の値打ちは?

地上の金やダイヤや財宝を集めても ルワンダには換えられない

子供の声:
私の上に太陽は いつ戻るんだろう 取り返してくれるのは 誰なんだろう
(子供たちが泣いている 聞こえるか?)

アメリカが アメリカ合衆国なら なぜアフリカは アフリカ合衆国になれない?
イギリスが 連合王国なら なぜアフリカは王国を集めてアフリカ連合王国になれない?

子供の声:
私の上に太陽は いつ戻るんだろう 取り返してくれるのは 誰なんだろう
(子供たちが泣いている 誰か聞こえるか?)

天も泣く イエスも泣く 神様 聞こえましたか? 私の叫びが聞こえましたか?
救ってくれますか? ルワンダのことを話したい ルワンダにこの歌を

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是非ともこの映画を観て
この曲を聴いて欲しい

きっとポール夫妻もワイクリフも
喜んでくれるはずだ



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