本の話 - アトゥール・ガワンデ「アナタはなぜチェックリストを使わないのか? 重大な局面で”正しい決断”をする方法」

2011 晋遊舎
アトゥール・ガワンデ 先生
吉田 竜 先生訳

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原題は
「The Checklist Manifesto
- how to get things right」


直訳すると…
チェックリスト・マニフェスト
正しい物事を得る方法

って感じだろうか



半年前に図書館で予約して
やっと順番が回ってきた

読みたかった本と言うこともあり
3時間ほどで一気に読ませてもらった

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要約すると…

人間は間違える動物だから
いつでもどこでも常に正しい判断が出来るよう
チェックリストを使おう!

もちろん
出来上がったチェックリストは
常に version up して行こう~


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先生はお医者さん

本は先生の失敗談から始まる

毎日何十人と患者を診ているお医者さんたちは
毎日何百回もの「正しい選択」を迫られている

その選択次第で
患者は息を吹き返し
また息を止めてしまうのだ

ところが
毎日必ず出来ていた当たり前の手順が
いつの間にか忘れられてしまう
(精神的・時間的・金銭的な影響で敢えて省かれてしまう)

ちょっとした近道が大きな後悔を産む
どうすればミスが防げるんだろうか…



勤務先の病院の増築工事
それにヒントを得た先生は
いきなりそこの現場監督に教えを請う

複雑怪奇でごちゃごちゃな業者間を取りまとめ
安全かつ法律的に問題なく設計図通りの建物を完成させる
現場監督の部屋の壁にあったのは「チェックリスト」だった


最新鋭爆撃機の安全な操縦
高層ビルの安全な建て方
大規模災害への効率的な対処法
いつも美味しい料理を出す方法

すべてチェックリストが叶えてくれる
と先生は語る


ぶっちゃけ
チェックリストの有効性は充分わかるけど
当たり前のことを毎回毎回チェックするなんて
正直メンドイし時間的にロスじゃね?
と思ったがそこら辺にも先生は言及してくれている

決定打は
「ハドソン川の奇跡」の話

これがとても説得力を持っていた

ハドソンの奇跡 交信記録


素晴らしい判断力!的確な決断力!など
機長ばかりが取り上げられるが
あの奇跡の本質は機長だけでは語れないのだ
この奇跡とチェックリストの関係は
かなり読み応えがある

もちろんその他にも
チェックリストの有益性を
社会的に成功している
経営者・投資家・医師・パイロット・建築家・料理人たちが
証明してくれている

中でも投資家の話は興味深い

あのウォーレン・バフェットはチェックリストを使っていない!
もし使っていたらもっと成功していたはず
…だと言っているのだ
(彼は脳内チェックリストを使っているらしい)

投資家の話を読みながら
「この本は投資家こそ読むべきだ」と思った

何度も同じ失敗を繰り返して
損切りを繰り返している投資家たちよ!

チェックリストを作れ! そして活用すべし!

コカインどころか
ヘロイン脳になってもまったく問題ない!
(損切りしてしまうトレード時には
必ずコカイン脳になってるとのこと)

重要な選択を常に迫られている方に
とても有益な本
と言えよう


ほんじゃ早速チェックリストをつくろう~

んでも
どうやってチェックリストを作ればいいんだ?
って訳で
巻末にチェックリストの作り方・注意事項が載せてあったが
これが正直モノ足りない

実際に使っている
お医者さんのチェックリストを載せて欲しかった


最後の最後
ここだけが頂けない本




編集者は
ちゃんとチェックしたのだろうか?


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