映画の話 - 男はつらいよ 寅次郎と殿様(シリーズ19作目)

1977 松竹
山田 洋次 監督

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これこそが関東の笑いだ!
山田監督の脂マシマシ70年代後期を代表する
絶品の喜劇映画と言えよう!

今回の目玉は寅さんと家族の掛け合い!
(特におばちゃんの何気ない毒舌が炸裂w

さらに主役級の存在感を出している
林家木久扇のモノマネでお馴染み
「アラカン」コト嵐寛壽郎先生演じる殿様が良い


殿様の浮き世離れ感がハンパなく
あり得ない笑いを届けてくれる


と言う訳で
レギュラー陣&殿様が濃過ぎで
真野響子演じるマドンナがやや弱い

ワケあり女性役が恐ろしく似合ってる
キャラが立つ前に終わってしまうのが惜しい

しかしながら
そんな苦言なんかブッ飛ばしてくれるほど
畳み掛ける小ネタの嵐

これから起こるであろうイベントが
もうバレバレでコテコテなんだが
これが果てしなく面白い
のだ

鯉のぼりのくだり
犬のくだり
殿様・執事(しかも三木のり平w)と寅さんの掛け合い
とある女性を探すくだり
盛りだくさんで最高に笑える


もちろん忘れていけないのが「粋」の部分だ

ひょんなコトからワケありの女性と知り合い
ごく自然に優しい心遣いを魅せる寅さん
これがめちゃくちゃ粋なのだ~


毎度のことながら
マドンナにフラれる寅さんだが
今回のフラれるシーンは味わい深い

台詞の間・トーン
目の動き


渥美清先生は喜劇だけではなく
かなりの演技派
ということが良く分かる
注目のシーンだ


そして「泣き」
さくらが寅さんの心情を涙ながらに語るくだり
おばちゃんだけでなくても涙を誘われることだろう


「泣き」「笑い」
素晴らしいバランスの一作
寅さんシリーズのなかでもオススメ



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