本の話 - 伊坂幸太郎「夜の国のクーパー」

2012 東京創元社
伊坂 幸太郎 先生

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間違いなく先生は
あの震災を体感し変わってしまった


記念すべき10作品目の
書き下ろし長編作品である今作は
完成までに2年半の期間を要した

この作品は
あの震災を経験している
のだ

もしもあの震災が起こっていなかったら…
もしも先生が震災を体感していなかったら…
と考えざるを得ない



先生得意のエンターテイメント色は
残念ながら非常に薄い

例のドキドキハラハラ感は鳴りを潜め
代わりに寓話的要素が色濃くなっている

結果的に皮肉度は増している
(皮肉にもだw)

(きっと震災の影響だろう)
途中から方向感・設定がぼやけてしまっている

昔からの伊坂幸太郎ファンにとっては
到底満足できるオチではなかった
先生なりの
「既存システムへの抵抗・警鐘」は
充分感じ取ることが出来た


舞台設定を
自分の会社や部署…はたまた北朝鮮
そして今の日本に置き換えると
見えてくるものがあるやも知れない

初めて伊坂幸太郎先生を読む方には
ちょっとオススメ出来ないが
ネコ好きにはちょっとオススメの一冊だ

文庫本化の際に
いろいろと修正されていることを
切に願う

大江健三郎先生「同時代ゲーム」を
読むキッカケを作ってくれたことを感謝したい



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