本の話 - 中脇初枝「きみはいい子」

2012 / 5 ポプラ社
中脇 初枝 先生

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はじめましての中脇先生だったが
かなり衝撃を受けた

読み進めながら一瞬
女版「重松清」か?っと思ったが
そんなチャチなレッテルはまったくもっての的外れであった

同年代の先生であるが
ちびっ子から老年、男女に関係なく
人物の描き方が絶品

五作品収録
それぞれホンノリつながっており
ニヤリとさせてくれる

幼児虐待を中心に
出口のないトラウマ
悪夢のような問題の連続
もし当事者や経験者だったら
冷静に読んでいられないであろうテーマばかり

中には
希望を持たせてくれるようなエンディングもあるが
基本的に何も解決していない

しかしながら
心の自殺行為とも言える
溜まりに溜まった行き先のないそれらを
吹き消してくれるような読後感を味あわせてくれる

最後の作品がやや弱いのが惜しまれるが
他の作品がそれを凌駕しており問題ない

読み終えたら是非とも
表紙を見返して欲しい
その素晴らしい題名の意味に
心から救われることだろう

女性にオススメ


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